オレンジ色の校舎





「あっ!君たち、本当にありがとうな。礼は…俺が元気になってからするからな!」



「い、いいですよっ」



「バカもん。おじさんがカッコ悪くなっちゃうからダメだ!な、約束だぞっ」



あたし達はその言葉を受け取り、病室を後にした。今日は一馬くんも帰るみたい。



「よかったぁーっ」



大きく伸びをして歩くたっちー。隣の瀬川くんも相槌を打つ。一馬くんは…



「病人なんだから、もう少し大人しくしてほしい」



トシさんの心配を欠かしていなかった。そしてあたし達女子も会話を交わす。



「検査結果がよかったら、明日には退院できそうなんだって?」



「うん。今の調子じゃ大丈夫だと思う」



「やーん、もう病院に来ることもなくなっちゃうんだね、残念っ」



「コラ、楓。あんた何、残念そうな顔してんの?」



「だって、すっごい勇気をくれる人に出会ったんだもん」



「勇気をくれる人?」



麻衣とあたしは顔を見合わせた。






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