オレンジ色の校舎
19.ほっぺと涙と校舎
『嘘でしょ?』
「嘘じゃないよ。あたし、一馬くんと付き合うことになったの」
夜、早速麻衣に電話で今日のことを報告をした。
『てっきり瀬川くんへの想いが残ってるからって、浅井くんを振ると思ってたけど』
「ううん。瀬川くんへの想いはもうないよ」
『あんなに想い続けてたのに?』
麻衣からの言葉を受け、一瞬だけ返答に詰まった。
「あ…んなに想ってたからこそ、もう吹っ切れた。瀬川くんの幸せを願うの」
『そう、ね。てゆうか、無愛想な浅井くんだけど、相当喜んだんじゃない?』
「えへへ。可愛かったよ」
それから数分話をして電話を切った。ベッドにダイブして窓を見ると月が顔を覗かせていた。
『月、見てみろよ!』
電話口で瀬川くんが言ったあの頃が懐かしい。寒い中、会いに行ったり…いろいろあったね。
だけど、これからは一馬くんとたくさんの思い出を作っていく。瀬川くんとの日々が無駄にならないように新たな道を進むんだ。