オレンジ色の校舎
誰もいないオレンジ色に染まる校舎の廊下を歩く。反射した光が眩しい。
不思議だね。もう隣で歩くことはないと思ってたのに、寄り添って歩いてるよ。
「なぁ浅井、さっきのボールが当たった時の話なんだけど…」
「……次にボールがあたしの顔面に直撃したら、あたしが後輩くんのお嫁さんになるって話?」
少しだけ拗ねた口調で瀬川くんを困らせた。
「それ、訂正するよ」
「えっ?」
「もし次、浅井にボールが顔面直撃したら……」
直撃したら?さっきの自分の中での妄想が頭の中を駆け巡る。
「ずっと隣にいてもらう、とか」
オレンジ色のせいじゃない。瀬川くんの照れた笑顔が胸を揺さぶった。
「って、浅井泣くなよー」
きっとあたしは、これからも瀬川くんの隣で泣き続けると思う。でもそれと同じくらい…笑顔が生まれると思うんだ。
これからも…よろしくね、瀬川くん。