オレンジ色の校舎
あたしは照れ臭くなって俯いた。だけど繋がれた右手の力は強くなった。
「じゃあ、浅井の隣は俺だけ?」
「うん」
「じゃあ、俺が橋本や鈴木を好きになったら?」
「……瀬川くんの恋を見守る」
「バカ」
瀬川くんが優しく笑いながらあたしを見た。
「それ、嬉しくないって」
「え?だって…」
「見守られるのはもういい。邪魔して意地でも隣にいてよ」
「迷惑じゃない?」
「迷惑だったら、中学ん時から想い続けてないって」
瀬川くんを好きでよかった。
途中、一馬くんに揺れた時もあったけど、やっばりあたしには瀬川くんだけなんだ。
あのね、瀬川くんにお願いがあるの。大学、離れちゃうけど…浮気しないでね?
窓から見える桜が笑っている。それに応えるように、月も寄り添うあたし達を見守っている。
「もう、離さないでね?」
「当たり前。他の奴に浅井が行くのはもう、勘弁」
そして、あたしと瀬川くんは幸せな笑みを溢した。
*END*