オレンジ色の校舎





あたしの頭をぐしゃっと撫でた瀬川くん。一瞬、心臓が破裂するかと思った。



「お返し、のど飴だから」



「え?」



「浅井、風邪引いてるでしょ?」



────…え?



「…のど飴とか、ショボくてごめんな」



「………」



「あ…浅井?……っておゎっ!?な、なななんで泣いてんだよっ」



あたしは、泣いていた。気がついたら涙が溢れていた。




『おい浅井、風邪大丈夫かー?』




中学の時も瀬川くんとこんな会話をしたんだ。そして、小さく頷くあたしにその時も言ったんだ。



『はい、のど飴やる。…ショボくてごめんな』



同じ会話をしただけなのに、涙が溢れてきた。瀬川くんの言葉を聞くと苦しくなった。






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