オレンジ色の校舎





昨日のあの後、瀬川くんはあたしが泣き止むまで傍にいてくれた。部活があったはずなのに。



『たまにはサボりもいいな』



謝るあたしに、そう言って瀬川くんは笑った。その笑顔を見て、改めて申し訳ない気持ちになった。そして別れ際、



『何度も言うけど、浅井のせいで俺がサボりになったなんて思うなよ?俺が勝手に居ただけなんだから』



『だ…だけど…』



『いーから。それに、俺がのど飴を渡しちゃったからだもんな』



瀬川くんは最後まで、あたしがのど飴が嫌だったと思っていた。嫌いじゃないのになぁ。



「おーい、はーるか!」



麻衣の言葉に、昨日の記憶から一気に今日に戻された。眉間にシワを寄せる麻衣に苦笑いをした。



「それより遥はどうだったの?瀬川くんからホワイトデーのお返し来たりした?」



「あ…その…」



左右を見て、瀬川くんがいないか確認をしてから頷いた。






< 70 / 574 >

この作品をシェア

pagetop