オレンジ色の校舎
昨日のあの後、瀬川くんはあたしが泣き止むまで傍にいてくれた。部活があったはずなのに。
『たまにはサボりもいいな』
謝るあたしに、そう言って瀬川くんは笑った。その笑顔を見て、改めて申し訳ない気持ちになった。そして別れ際、
『何度も言うけど、浅井のせいで俺がサボりになったなんて思うなよ?俺が勝手に居ただけなんだから』
『だ…だけど…』
『いーから。それに、俺がのど飴を渡しちゃったからだもんな』
瀬川くんは最後まで、あたしがのど飴が嫌だったと思っていた。嫌いじゃないのになぁ。
「おーい、はーるか!」
麻衣の言葉に、昨日の記憶から一気に今日に戻された。眉間にシワを寄せる麻衣に苦笑いをした。
「それより遥はどうだったの?瀬川くんからホワイトデーのお返し来たりした?」
「あ…その…」
左右を見て、瀬川くんがいないか確認をしてから頷いた。