オレンジ色の校舎
2組の教室に入り、席は出席番号順ということを確認した。『浅井』だから毎回1番前なんだけど…
「あー、1番前俺じゃん」
と言いながら、短髪の男のコがあたしのいつもの席に座っていた。あれ?あたしより名前が早いのかな?
「ん、何か?」
「あ、な…何でもないです」
あたしはお辞儀をして、男のコの後ろの席に座った。話しかけられるなんて…びっくりした。
「なぁ、やっぱり何か用だったんだろ?」
すると男のコが振り返って、再びあたしに話しかけてきた。
「あ…その…あたしよりも名前が早いんだなと思いまして…」
「ふーん。で、あんた名前何ていうの?」
「あ…あたしはあ…浅井です」
「…マジ?俺も浅井なんだけど」
あたし達は顔を見合わせた。まさか同じ名前だなんて。