オレンジ色の校舎
「──…なぁ、浅井はどう?」
どうせ一馬くんへ問いかけてるよね。あたしは俯いたまま、瀬川くんの気配を感じていた。
「おーい、浅井遥ぁ」
ドキッ…
今、瀬川くんが…瀬川くんがあたしの、な…名前を呼んだよね!?やばい…ドキドキが最高潮だよ。
「な…何でしょうかっ」
「浅井、今の聞いてた?浅井と浅井の名前が一緒でややこしいなって話だよ」
「あ…うん。聞いてた」
嘘です。たった今、あたしには嬉しいことが起こって聞いてなかった。瀬川くんがあたしの名前…呼んでくれたんだもん。
「──────…遥」
「へ?」
「俺、遥って呼ぶよ」
一馬くんがニッと笑いながら言った。またびびびびびっくりした。名前で呼ばれるんだもん。
「遥、でいい?」
「だ…だいじょぶでっす」
うわぁ…緊張しちゃう。