オレンジ色の校舎
「遥ったら、新学期早々やってくれたね」
「もぉー、そんなに笑わないでよっ。あたしだってあんなつもりじゃなかったんだから」
あたし達は今、始業式が行われる体育館に向かっている途中だ。
「ハイハイ。じゃあ、そんな拗ねる遥ちゃんに1つプレゼント」
麻衣の言葉に首を傾げる。プレゼント?あたし今日誕生日じゃないよね?
「前、約束してた香水。あげるの遅くなってごめんね」
あたしの手元には、可愛らしいピンク色のハート型の香水が渡された。そうだ、クリスマスイブの日に約束してたっけ。
「うわぁ…麻衣ありがとうっ」
「いーえ。それ使って瀬川くんをオトすのよ?」
「う…は!?ななな何言って…」
「嘘だって。さ、早くポケットに入れて。先生に没収されても知らないよ?」
あたしは慌てて香水をポケットへ眠らせた。