オレンジ色の校舎
「コラ、遥!」
麻衣に呼ばれ、風船が割れてびっくりした時みたいな驚きを隠せなかった。
「何ボーッとしてんの。ラブハンあたしが食べちゃうよ?」
「ダーメ!ラブハンはあたしのだもんねっ」
「じゃあ瀬川くんは?」
「ふぇ!?せ…せせせ瀬川くんは…みんなのモノだよ。あたしのじゃ…ない」
あははっと目尻を下げて笑う麻衣さん。おーい麻衣さーん?
「遥、さっきあたしに可愛いって言ったけど、遥の方が断然可愛いよ。あんたのその反応とか」
「ねぇそれってバカにしてる?」
「わかってんなら早くラブハン食べて帰るよ」
高校3年生の始まり、瀬川くんと麻衣とそれからたっちーと同じクラスになった。
クラスでは、同じ『浅井』という名前を持つ一馬くんと出会った。
そして帰りには…瀬川くんから初めて口パクで『また明日な』と言われた。