オレンジ色の校舎





「コラ、遥!」



麻衣に呼ばれ、風船が割れてびっくりした時みたいな驚きを隠せなかった。



「何ボーッとしてんの。ラブハンあたしが食べちゃうよ?」



「ダーメ!ラブハンはあたしのだもんねっ」



「じゃあ瀬川くんは?」



「ふぇ!?せ…せせせ瀬川くんは…みんなのモノだよ。あたしのじゃ…ない」



あははっと目尻を下げて笑う麻衣さん。おーい麻衣さーん?



「遥、さっきあたしに可愛いって言ったけど、遥の方が断然可愛いよ。あんたのその反応とか」



「ねぇそれってバカにしてる?」



「わかってんなら早くラブハン食べて帰るよ」



高校3年生の始まり、瀬川くんと麻衣とそれからたっちーと同じクラスになった。



クラスでは、同じ『浅井』という名前を持つ一馬くんと出会った。



そして帰りには…瀬川くんから初めて口パクで『また明日な』と言われた。






< 90 / 574 >

この作品をシェア

pagetop