オレンジ色の校舎
「傘に入れてくれるなんてありがとうな、カズ!マジ天使〜♪」
一馬くんに対するたっちーの尊敬の言葉が聞こえた。一馬くんは気だるそうに傘をさす。
「それにしても永納って奴は俺をいじめてばっかり…」
「聞こえてますよ。170位だった健真くーん」
「おい!永納ぁ、人の順位をバラすなんてプライバシーの侵が…」
「あー雨降りすぎ」
「って無視かーい!もぅっ、カズ帰るぞ!」
プンプンするたっちーの隣を仕方なく歩く一馬くんが可哀想に見えた。
「ほんっとあんな奴、やだ」
「だけどそんなたっちーを気になってるくせに」
「きっとあたし体調が悪いんだと思う。だからたっちーなんかを気にするんだよ」
つまらない意地を張る麻衣。いつものクールビューティも、たっちーの前になるとこんな感じなんだから。
「中学の時は何も思ってなかったのに…人生、何が起こるかわかんないもんだね」
眉をさげて呆れたように笑う麻衣を見て、人生の面白さに気づかされた。