Door
『愛子ちゃん、最後に観覧車、乗らない?』

ぎゅっと手をひかれて、少し顔が赤くなるのがわかった私は「うん」
とうなずくことしかできなかった。




『愛子ちゃん、緊張してる。』

笑いながら言う怜治さんに少し悔しくて私は「うるさいな」って笑った。



もう暗くなった空にみなとみらいの夜景が映し出される。
正樹と乗ってからだから、もう乗るのは1年以上ぶりだった。
それでもその夜景は変わることなく輝き続けていて

「綺麗だね」

ってガラス越しに呟いていた。



それはもう一瞬の出来事だった。

後ろから怜治さんがぎゅっと私を抱きしめた。
ドキドキしながら動けない私に優しい声で言った。


『俺さ、初めて会ったときから愛子ちゃんのこと、好きなんだよね。』

ゆっくり、一言一言大事にするように、まぎれもなく私に向けて
言われたその言葉は、とてもあたたかくて溺れてしまいそうになった。



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