Door
『おっかしいなぁ、ココアって元カノもよく好きで飲んでたから
好きなのかなって思ったのに』

なんて軽く笑うから、私もつられて笑う。

元カノ、いたんだ。

今はいないのかな?

でも聞くのめんどくさいな、深入りしたくないし。


「ココア、好きだよ。元彼がよく入れてくれたから、つい。
半年以上経ってるのにな―。ばっかみたい。」

私もつられて笑って言った。


そして何か言いたげな彼に気付かない振りをして立ち上がった。

「ハンカチ、ありがと。泣いちゃったしお礼にリンゴ切るよ。
包丁どこ??」

って尋ねると、ほんとに小さい包丁しかなくて笑った。

「これで料理してるわけー??」って。


『だからしてないってば。めんどくさいじゃん。』

ってまじめに返すからごめんってまた笑った。



久々に誰かの家のドアを開けた日。
なんだか心地いいあったかさが包みこんでいた。
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