Door
今日もいつもみたく、何もない部屋でピザなんかを頼んで
DVDを見ながら一緒に食べた。


『なあ、愛子。
ずっと気になってたんだけどさ…』

伏し目がちに言う彼の目は真剣そのもの。

たぶん言うことは決まっている。

『なんで愛子は家に入れてくれないの?』

やっぱりそれだよね。
何度か冗談混じりに言われてはいたから予想はついたんだけれど。

『ねぇ、なんか理由あるんだよね?
聞いたらやっぱ迷惑かな?』

遠慮がちに彼は言う。

それもそうだ。
彼氏でもないのにそうやって自分のドアを開けて、傷つきたくない。
ただ、それだけ。

流れる沈黙を破って私は口を開いた。

「彼氏じゃないから、かな。
でも考えてみたらいつも海斗のうちにあがりこんで、ゴメン。」

だけど、彼には到底「付き合って」なんて言えそうにない。

彼女、いるかもしれないし
あえていてもいいと思ってる
この距離が一番、ちょうどいい。
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