Door
仕事が終わって私は裕子と居酒屋に来ていた。


お酒がいい感じにまわってきてちょっとくらくらする。

『ちょっと飲み過ぎー。
愛子、ちゃんと帰れる?』

「うーん、帰らなくてもいいやー。
私をお持ち帰りして♪」

やけになりっぱなしな私からグラスをうばって
裕子がそれを飲む。

『もう、だーめ。帰るよ。』


ふらふら立ち上がると、裕子は私を抱えて、私の家まで送ると言い出した。

裕子だけは家に何度か入れている。
他の人はほとんど入れていないんだけど。

「いいよいいよ。」

そう言う私を連れて、家まで歩き出す。



マンションの前まで来て
誰かが玄関の前で口ゲンカをしていた。

『だから出てって。』


その声につい、足が止まる。
海斗と、髪をくるくる巻いてかわいらしいお人形さんみたいな彼女。
< 34 / 50 >

この作品をシェア

pagetop