Door
ぬいぐるみすらすべて捨ててしまったから
何も飾っていない、女の子らしいかわからない部屋。

真ん中に置いてある小さなテーブルに
向かい合わせに二人で座っている。

「何か、飲む?」

『だから、そのままでいいから。』

落ち着かない私の頭をくしゃくしゃっとして
彼もくしゃくしゃって笑った。



「あの、さ。
昨日言いあっていた女の子、誰?」

まず気になっていたことを聞いた。

『ああ、元カノ。でも、追い返した。』

ぽかんとしている私に彼は続けて言った。

『寄り戻そうって言われたけど、
戻す気がないから断った。』


また訪れる沈黙。
一向に話をしてくれない彼。
いや、おそらく私が何かを言うのを待っているようにも見える。


「あの、ね。」

私は沈黙を破って、ゆっくり、ゆっくり話しだした。

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