Door
そしたら突然背中がふわっと包みこまれるのを感じた。

『愛子、ありがとう。』

そう言って海斗は優しく、優しく私を抱きしめていた。
それはあったかかくて、あったかくて
一人で眠る夜の布団よりもあったかくて心地よかった。

『ほらほら、もう泣かなーい。
明日もこのスーツ着るんだから。』

顔をあげると少し泣いたのか
泣き笑いしてる彼の顔があった。

「あ…ゴメン。ていうか何泣いてるの??」

『うるさいわ!!』

私も泣き笑いしていて、二人でもう一度
「おかしいね」って笑いあった。


『なあ、愛子。』

海斗は私を抱きしめたまま
優しく呼びかけた。

「うん?」

『俺さ、愛子の過去に何があったかは知らないけど
愛子のこと、大事にするから。
ちなみに元カノには好きな奴いるって言って振ったから、
心配するな。』

ああ、なんかすべて私のこと見透かしてるみたい。
そう想ったらなんだか照れくさくて、ついうつむいてしまった。
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