Door
「ありがとう。」

優しく包み込まれた腕の中で
私は残った力で彼を抱きしめ返した。



『なあ、愛子。』

「うん?」

もう一度顔をあげたら、そっと唇がふさがれた。
時間が、一瞬止まる。


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「もう、びっくりした。」

『俺も、緊張で死ぬかと思った!!』

だったらするなって思ったけど
そう言ってまたくしゃくしゃって笑う彼を見て
閉じていた私のドアがもう一回開いていくのがわかった。



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