たばこの匂いとあなた
「じゃあ先生また明日。」
支度を終えた華月は東堂に声をかけ手を振った。
「あぁ。気をつけて帰れよ?」
「うん!」
華月と響は帰っていった。
一人になった東堂は机に座り、一番上の引き出しから一枚の写真を取り出した。
そこには大学時代の東堂と隼人が楽しそうに笑っていた。
東堂は写真の中の隼人を見つめてつぶやいた。
「『俺の…
俺の家に来ないか…。』
俺は華月になんてことを言おうとしてたんだ…
隼人すまない。
いつの間にかお前の大切な娘に惚れてたよ…」
そしてまた写真を引き出しにしまった。
「でも、もう俺がいなくても華月は大丈夫だな…」
東堂の寂しそうな声が静かな保健室に響いた。