たばこの匂いとあなた
新田響
校門を出てから華月は考えこみ、うつむいて歩いた。
そのとき華月の後ろからスピードを出した車が近づいてきた。
「奥村さん危ないっ!」
「えっ?」
華月は響に手をひかれ、
気がついたときには響の大きな胸の中にいた。
『ドクン』
響の大きな胸や懐かしいたばこの匂いが、隼人を思い出させた。
頭の中で悲しい思い出がよみがえり、鼻の奥がツンとして瞳に涙が浮かんだ。
「大丈夫?」
頭上から声がし、華月は急いで涙をひっこめた。
「だっ…大丈夫…。」