たばこの匂いとあなた


華月の目からは涙があふれた。


もう限界だった。




新田響は隼人じゃない。

そう思っても目の前の響は隼人にそっくりで、もう涙をこらえきれなかった。



あふれだす涙はとめることができない。



「ごっ…ごめっ…なさい。」



「泣いてもいいよ。

今日ずっと思ってた。


見る度に泣きそうな辛そうな顔で、いっそ我慢しないで泣いたほうがいいって。」




そして泣きじゃくる華月を自分の胸に抱き寄せた。




「奥村さんの求めている人にはなれないけど、

せめて今だけはその人の代わりをさせて?」







ああ…



どうしてこの人は私のことわかってくれるんだろう



ずっと泣きたかった



ずっと


今はない隼人の温もりが欲しかったんだ






< 113 / 128 >

この作品をシェア

pagetop