たばこの匂いとあなた
振り向いた先にいた人物。
アッシュに染められたさらさらな髪。
髪の間からのぞく、何かを見据えたような切れ長な瞳。
鼻筋が通った整った顔立ち。
艶のある唇には、
たばこがくわえられていた。
その人は華月が求めていた人物の生き写しのような人だった。
たばこを口から離し、
「俺の名前、隼人じゃねぇよ?」
そしてニコッと笑った。
その微笑みは求めている人物とは異なり、少し幼っぽさの残る笑みだった。