たばこの匂いとあなた
「はやく卒業して家を出なきゃ。」
華月は言い聞かせるように頷いた。
そして、
「1本だけならいいよね。」
そう言って細い路地裏へと入った。
路地裏の壁にもたれかかるとたばこを口にくわえライターに火をつけた。
いつもご飯代のニ千円からたばこを買っていた。
『カチッ』
燃えていく先端を見つめながら
「いつからこの匂いにとりつかれたのかなぁ~」
ははっと笑うとたばこの匂いに安心できた。
華月にとって今いちばん安心でき、
求めているものだった。
「隼…人…」
華月はそうつぶやいて涙を流した。