風に揺蕩う物語
心配の表情を浮かべていたはずの二人も、ヒューゴのあまりの緊張感のない様子に次第に呆れの様子を見せ始める。
死んでしまうのではないかとか、目を覚ましても重大な欠落を抱えてしまうのではないかとか、色々と憶測が飛び交っていただけに、ここまで元気な様子を見せられると、どうにも釈然としないのだろう。
意図せず場違いな雰囲気を出している当事者は、遠慮がちにシャロンに頼み込む。
「…食事を用意してもらえるかな?空腹が限界を迎えてしまったようだ」
ヒューゴがその場に座り込む姿を見たシャロンは、急いで食事を作りに戻り、医者は咳払いを一つしたのちに、ヒューゴの診察を開始する。
ヒューゴはこの時自分の体に起こっている出来事を感覚的に理解していた。
体調が戻っている。体に力が漲ってくる。
白い煙の正体が何かはわからないが、自分の変調を現す一つの目安なのは間違いない。この正体が分かれば諦めかけていた自分の寿命も伸ばせるような気がする。
人知れず笑みを浮かべるヒューゴであった。
首都ファルロースに程近くある雑木林を馬に跨り突き進む人物が居た。簡易な服装に身を包み、綺麗な毛並を見せる騎馬を優雅に歩かせあてもなく彷徨う。
ヒューゴは辺りを見回しながら突き進んでいく。その視界には小動物や木々の他に見えているものがあった。
煙である。薄い緑色をした白い煙が辺りを薄く包み、その出所を探すが如く散策していた。
時を遡る事、ヒューゴが原因不明で意識を手放し、再度目覚めた日である。
復調を見せたヒューゴは意識を失う前には見えなかったはずのものが見えるようになっていた。最初はヒューゴも大層驚いた様子だった。
町中で煙が上がり、火事が起きている。そう思ったのだが、辺りからは火事場に見せる特有の匂いはなく、人々も慌てている様子がない。それにその煙はかなり薄く透明感があり、風に導かれ漂っている様子もない。
それは不可思議な煙だった。
死んでしまうのではないかとか、目を覚ましても重大な欠落を抱えてしまうのではないかとか、色々と憶測が飛び交っていただけに、ここまで元気な様子を見せられると、どうにも釈然としないのだろう。
意図せず場違いな雰囲気を出している当事者は、遠慮がちにシャロンに頼み込む。
「…食事を用意してもらえるかな?空腹が限界を迎えてしまったようだ」
ヒューゴがその場に座り込む姿を見たシャロンは、急いで食事を作りに戻り、医者は咳払いを一つしたのちに、ヒューゴの診察を開始する。
ヒューゴはこの時自分の体に起こっている出来事を感覚的に理解していた。
体調が戻っている。体に力が漲ってくる。
白い煙の正体が何かはわからないが、自分の変調を現す一つの目安なのは間違いない。この正体が分かれば諦めかけていた自分の寿命も伸ばせるような気がする。
人知れず笑みを浮かべるヒューゴであった。
首都ファルロースに程近くある雑木林を馬に跨り突き進む人物が居た。簡易な服装に身を包み、綺麗な毛並を見せる騎馬を優雅に歩かせあてもなく彷徨う。
ヒューゴは辺りを見回しながら突き進んでいく。その視界には小動物や木々の他に見えているものがあった。
煙である。薄い緑色をした白い煙が辺りを薄く包み、その出所を探すが如く散策していた。
時を遡る事、ヒューゴが原因不明で意識を手放し、再度目覚めた日である。
復調を見せたヒューゴは意識を失う前には見えなかったはずのものが見えるようになっていた。最初はヒューゴも大層驚いた様子だった。
町中で煙が上がり、火事が起きている。そう思ったのだが、辺りからは火事場に見せる特有の匂いはなく、人々も慌てている様子がない。それにその煙はかなり薄く透明感があり、風に導かれ漂っている様子もない。
それは不可思議な煙だった。