風に揺蕩う物語
ムーアは意外にも絵が得意だった。それも模写に関して言えば相当なもので、王族騎士の鍛練の風景や、何気ない日常の絵画を書いては、兵舎に飾ったりしている。
「へぇ…もし出来たら僕に売ってよ。ムーアの絵ならそれなりの値段で買い取ってあげるよ」
「マジでっ!?でもなぁ…絵が出来たら、兵舎に飾るってギルバート先生に言っちまってるしなぁ」
一瞬喜んだ表情を浮かべたムーアだが、すぐに後ろ髪を書きながら浮かない表情をする。
「なら二枚書けば良いだろ。それで問題解決だ」
何も考えずにそう答えるアスラにムーアはあきれ顔を浮かべる。
「そんな事出来る奴が居るなら教えてくれ。少なくとも俺には無理だ…という訳ですまないなヒューゴ。また今度にしてくれ。予め言ってくれればいくらでも書いてやるからよ」
「全然気にしないで良いよ。また今度の機会に頼むからさ」
「…ところでヒューゴ。そちらの御方は?」
後ろで黙って様子を見ていたシャロンを見て、アスラが満を持して聞いてきた。ヒューゴはシャロンの事を例に従い紹介すると、シャロンは優雅に頭を下げてみせる。
二人ともそれに驚くのは他の人たちと変わらなかったのだが、この二人の場合はそれだけでは終わらなかった。
「シャロンさん。私はエストール王国軍王族騎士歩兵隊小隊長を任されているアスラ・アロンスベルと申します。以後お見知りおきを…」
「私も同じくエストール王国軍王族騎士歩兵隊小隊長を任せられているムーア・ロイスと申します…」
先ほどの軽快な会話をしていた人物とは思えないほど、社交的な挨拶をするアスラとムーア。そして二人は同時にシャロンに近づいていく。
だがアスラはムーアの体の前に体をねじ込ませると、後ろ手でムーアを妨害し、そのままシャロンの前にムーアより先に出る。
そしてその様子を首を傾げながら見ているシャロンをよそに、アスラはその場に片膝を着くと、シャロンの手を取り、優しく手に口づけをする。
「シャロンさん。私はあなたほどの美貌をお持ちの姫君に会った事がありません。いま私の体はシャロンさんに会えた事の感動で胸がはち切れそうです」
「へぇ…もし出来たら僕に売ってよ。ムーアの絵ならそれなりの値段で買い取ってあげるよ」
「マジでっ!?でもなぁ…絵が出来たら、兵舎に飾るってギルバート先生に言っちまってるしなぁ」
一瞬喜んだ表情を浮かべたムーアだが、すぐに後ろ髪を書きながら浮かない表情をする。
「なら二枚書けば良いだろ。それで問題解決だ」
何も考えずにそう答えるアスラにムーアはあきれ顔を浮かべる。
「そんな事出来る奴が居るなら教えてくれ。少なくとも俺には無理だ…という訳ですまないなヒューゴ。また今度にしてくれ。予め言ってくれればいくらでも書いてやるからよ」
「全然気にしないで良いよ。また今度の機会に頼むからさ」
「…ところでヒューゴ。そちらの御方は?」
後ろで黙って様子を見ていたシャロンを見て、アスラが満を持して聞いてきた。ヒューゴはシャロンの事を例に従い紹介すると、シャロンは優雅に頭を下げてみせる。
二人ともそれに驚くのは他の人たちと変わらなかったのだが、この二人の場合はそれだけでは終わらなかった。
「シャロンさん。私はエストール王国軍王族騎士歩兵隊小隊長を任されているアスラ・アロンスベルと申します。以後お見知りおきを…」
「私も同じくエストール王国軍王族騎士歩兵隊小隊長を任せられているムーア・ロイスと申します…」
先ほどの軽快な会話をしていた人物とは思えないほど、社交的な挨拶をするアスラとムーア。そして二人は同時にシャロンに近づいていく。
だがアスラはムーアの体の前に体をねじ込ませると、後ろ手でムーアを妨害し、そのままシャロンの前にムーアより先に出る。
そしてその様子を首を傾げながら見ているシャロンをよそに、アスラはその場に片膝を着くと、シャロンの手を取り、優しく手に口づけをする。
「シャロンさん。私はあなたほどの美貌をお持ちの姫君に会った事がありません。いま私の体はシャロンさんに会えた事の感動で胸がはち切れそうです」