six bottle
深海森
ラベ崖を越えて深い森に入る。鳥のさえずりと風が心地よい。
ついアクビが出る。

「のんきだなぁ。」
となりでクスッとセージが笑っていた。

「なっ何よ。自由を満喫して何が悪い!」

照れ隠しに言うとますます笑う。

「二人とも戯れてないで。獣が出たらどうするの?」

「ここそんなに危ないの?」

遠くを見つめるタイムの目線には黒い影…。

「フェンネル?」

「やつには気をつけて。何者かわからないけど…。あまり関わらない方がいい。こそこそついて来ている。」


助けてくれた人なのに…。


「ここを越えたら湖があるはず。」


「ヒューレッ!」

気づいたセージが叫ぶが舞い上がって飛んでいく。
「ちょっと見てくるー!」


ヒューレの羽が一枚落ちる。それを掴んでため息をつく。


「君は彼女が心配なの?」

セージは下を向き、ぽつりと
「心配です。」

「とても大切な存在なんだ。」

「はい。」

この少年は…。まぁ苦労しそうな。あの子はわかってなさそうだし。

ふいにセージは真剣な顔をこちらに向ける。

「タイム…。僕を強くして下さい。」

< 16 / 45 >

この作品をシェア

pagetop