six bottle
ポコポコポコ…。






水の音、泡が弾けてる。
体は沈んでいく。
水面には人影…。






「誰?…。」






声がした。






「エルダー!…。エルダー!」






目を開けると心配そうなセージがいた。






「セージ…。」






ほっとした顔をした。私はまた心配させちゃった。






「エルダー大丈夫?もう湖に着くわよ。」
タイムは何事もなかったかのようにしてくれた。





今の状況を理解して顔が赤くなる。
「エルダーまだ安静にしてろよ…。」






「いや…。そのだって。」






のしのし早足で歩くアナの上にセージが前に私を抱いて支えていた。顔が近い。






お姫様抱っこは…。






バサッ!






紅い影が横に飛んで来た。
「ヒューレッ…。ごめんね。心配かけて。」






首もとをなでると嬉しそうに喉を鳴らす。






気がつけば夜になっていて…。辺りは闇に包まれた。
湖は月を反射して鏡のように光っていた。






「綺麗…。」






湖畔の木の下にフードを被る人影…。火の番をしている。






タイムが警戒しながら問いかける。






「この辺りに街があると聞いたが近いだろうか?」






「探しなさい。真実を…。誰もいなくなった…。いなくなった…。」






ブツブツと老婆はそればかり繰り返していた。
まるで呪文のように…。





タイムはまず休むとテントをはった。




< 26 / 45 >

この作品をシェア

pagetop