six bottle

聖なる雫

綺麗な町だったのに。どうして今は誰もいないのかな…。






あまりにも静かな街のようすに恐怖を感じた。ヒューレがそれを感じたのか肩をキュッと握り顔を覗き込む。






「ありがとう。ヒューレ…。心配しないで。」






羽を撫でる。






「おばあちゃん大丈夫かな?」






「何心配してんの?エルダー…。怖いんだろ?」





「こ…。こ怖くないんだから!」






うぉ~ん!






「タイムが何か見つけたみたいだ…。行こう…。ゼロがよんでる。」






手を握り走り出す…。この感覚久しぶり…。いつからだったかな。遊ばなかったのは…。






握りかえすと…。ちょっとセージは走る速度を上げた。






あっ…。そっか…。あの森でセージが私を庇った時からか…。懐かしいな…。






修行修行…。鍛錬とじいさんにこっぴどいくらいにされたっけ…。






じいさん元気かな…。






水晶の町は綺麗なのにこうしてメインストリートらしきところを走っても誰ともすれ違うことはなかった。






生き物の気配がしない…。でもなんか違和感が…。






いったいなんなの?!






「あっ…。」
建物の上に人影…。






「どうしたの?」






「ほら!あそこ!」






人影が消えてしまった…。





「あそこに人がいた…。」






セージは目を凝らした…。
「誰もいないよ…。」






走り出す…。この違和感がなんなのかわからない。





セージの手を離さないように握りしめた。






うごめく影は月の光が弱まり動き出す。






生気を求めて…。






「来たのか…。やっと…。始まる…。」






うごめく影は大きくなる。町は変わる…。






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