【短】同窓会―episode 2―


「……本当は、死んだ日に、未葵が、俺を救ってくれたから…俺も力になりたかったんだ。
だから、ずっと成仏しなかった。」


瑠。
あの日私が、瑠をほっとけなかったように、私をほっとけなかったんだね。


瑠は、どうして、そんなに優しいのかな。


そう思うと、また止まったはずの涙が、溢れそうになる。


「俺、お前の兄ちゃんみたいなもんじゃん。
彼氏はいなくても、兄ちゃんが側にいてやるから。」


お兄ちゃん。


その言葉に、思わず笑ってしまう。


そっか。お兄ちゃんか。
だから優しいんだね。


…死んだのに、お兄ちゃんが出来た。


「お兄ちゃん、行こ。」


この世界からいなくなるのは、少し寂しい。
でも私には、お兄ちゃんがいる。


「おぅ。」


瑠はそう言って、照れ笑いした。


ねぇ、蒼ちゃん。
蒼ちゃんには、嶋津先生がいるよ。

私にもね、お兄ちゃんがいるよ。


だから、離れても、大丈夫。


また、きっといつか、会えるよね。


その日まで、私、待つからね。


お兄ちゃんと、一緒に。



…完…





< 19 / 20 >

この作品をシェア

pagetop