執事と共に謎解きを。
――ガツッ


降りた瞬間、鈍い音が響く。

その長い足が、ドアの正面にいた一人を蹴り上げたのだ。

そして、蹴り上げた足が地面に着いた途端、その男の鳩尾に拳が食い込んでいた。

白目をむいて一人が倒れる中、二人目がナイフを振り上げてきた。

春樹は素早く、相手の懐に踏み込み腰を回転させた。


――ゴッ


相手の顎に春樹の拳が刺さっていた。

二人目が崩れ落ち視界が開けると最後の男が銃を構えていた。


――が、発砲はしない。


その手元には既に、春樹の小さなナイフが刺さっていたからだ。


「失礼します」


なんとも穏やかな様子で、春樹はその男の銃を取り上げた。


「ご無事ですか、お嬢様」


そう聞きながら春樹が車を振り返った途端、


――パァン


車の中から、火薬のはじける音が響いた。
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