執事と共に謎解きを。
「心配してくれるなんでお嬢さんもやっさしいとことあんじゃ……」

「移さないでよね。」


ぴしりと言い放ち背中を向ける恵理夜に、夏樹は慌てる。


「大丈夫だって、もうすっかり治ったんだから。今日だって、屋敷じゅう掃除しちゃうくらいピンピンしてっから、」


「嘘。」


射抜くような眼で振り向かれ、夏樹の動きと表情が止まる。


「掃除をしたっていうのは本当みたいだけど、嘘をつくのは感心しないわ」

「……ひえー、やっぱりお嬢さんは鋭いなぁ」


夏樹は大げさな動きで降参を示すように両手を挙げた。


恵理夜は、不思議な勘で人の考えや嘘を見抜くことができた。

その力は、今日まで幾度となく恵理夜たちを助けてきた。
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