執事と共に謎解きを。
「お疲れ様でした。これで終わりです」

「じゃあ、春樹の番よね」


――春樹も、恵理夜と同じように薬で命を繋いでいた。


それゆえ正式な使用人にはなれない。

しかし、それゆえに恵理夜の元へ仕えている。


「……私は、自分で出来ますよ」


誰かと違って、とかすかな笑みがそういっていた。


「じゃあ、注射だけ」


注射は同じ薬だった。

恵理夜は新しい注射器を取り出した。

春樹は、仕方ないというように服を捲くり腕を差し出した。

痛みを感じる角度で刺す……が春樹は眉一つ動かさない。


「……つまらないわ」

「申し訳ございません」

「つまらない」


そうこうしているうちに、薬の投与が終わった。

そして、春樹は錠剤を、一息に飲み干した。

先ほど恵理夜に施した手つきとは程遠い荒々しいものだった。


「お待たせいたしました。御夕食に参りましょう」
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