執事と共に謎解きを。
「『誰かが盗み出した』」


全員の胸のうちを、恵理夜が代弁した。


「『一体誰が』、『他の幹部が持ち出したのでは』、『この中の人物を疑っているのか』、『あれを手に入れて利益を得るのは誰か』」


恵理夜は、笑顔で皆の胸中を述べていく。


「さすが、恵理夜の前で嘘はつけませんね」


恵理夜の力を知っているシラヤナギは笑って皆を見回した。


「その通り、私はここの皆様方を疑っております」

「なっ……」


あまりの不遜な言い方に、誰もが口を開けずにいた。


「《Dレポート》は、我が組の最高機密の一つです。それを流出させるということは……」


誰もが青ざめていた。


「組の未来が危うくなります。この意味、わかりますね」
< 31 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop