執事と共に謎解きを。
――こんこん
次の日、恵理夜の自室に朝早くから訪問者があった。
「私です」
訪問者は、シラヤナギだった。
「聞いたよ、薬が盗まれだそうだね」
「参りました」
恵理夜は焦燥感を隠し、努めて明るい声で答えた。
「春樹、私の部屋に、代わりになりそうな薬を取り寄せました。届いてる頃かと思うので、取ってきていただけますか」
「かしこまりました」
春樹は、一礼して部屋を出て行った。
「叔父様、犯人はわかりましたか」
「いや、まだだね」
「私、薬を盗んだ犯人と《Dレポート》の犯人は同じなんじゃないかと思ってます」
「同感だよ。一刻も早く《Dレポート》 を見つけ出したい」
「私たちの命を狙っていなければの話ですがね」
「……思いのほか、物騒なことに巻き込んでしまったね」
「でも、おじい様にはまだ伝えないでもらえますか」
「……余計な心配はかけたくないかい」
「春樹以外のボディーガードがついても、鬱陶しいだけだもの」
「まあでも、報告だけはさせてもらうよ。対応は、君に配慮するから」
恵理夜はしぶしぶ頷いた。