執事と共に謎解きを。
――その日、恵理夜はいつも通りの一日を送った。
いつも通りの時間を学校で過ごし、いつも通りまっすぐ帰ってきた。
変ったことといえば、運転手が春樹になったということだけだ。
「……レポートや薬どころではなかったわね」
日も落ちきった頃、来週に控えるテスト勉強を終えた恵理夜が呟いた。
「お疲れ様でした」
春樹の労いに頷きながらも、恵理夜は手持ち無沙汰になったのか、メモ用紙で折り紙に興じ始めた。
「結局、薬の在り処はわからず仕舞いよね」
「外に流出した、という情報もないので屋敷の中にはあるはずなのですが」
「そう……」
恵理夜は思案気なまま、完成した折り紙の鶴をテーブルの上に置いた。
そのタイミングで春樹は、今日の分の薬を並べた。