執事と共に謎解きを。
「誰が、犯人か……」


あのディナーの後に書かれたメモが、目に留まった。


――しかし、当然のことながら答えは出ていない。


「…………」


恵理夜は、おもむろにその紙の下にある余白を切り落とした。

そして、正方形になった紙で折り紙を始めた。

折って、開いて、返す。

その都度、様々な言葉が姿を現す。


「1冊のレポート……同じ焦燥感……消えた薬」


折るたび、捲るたびに現れるキーワードをぽつりぽつりと呟いていく。


「私の勘の及ばない……」


最後に、シラヤナギの言葉が現れる。

そして、百合の花が完成した。


「……もう、こんな時間なのね」


春樹に退室を命じていたため、薬を飲むのを忘れるところだった。

恵理夜は慌てて薬箱を開いた。


「なっ……」


薬が、なくなっていた。

とっさに、部屋を見回す。

そして気づいた。シャネルの5番の香りが漂っていることに。

先ほどの、レミコとのやり取りを思い出し恵理夜の思考が止まる。
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