執事と共に謎解きを。
――がちゃ
「失礼致します。薬はお飲みになりましたか」
春樹の姿だった。
「どうかされましたか。お加減でも……」
「薬が……」
春樹は、血相を変えて薬箱を覗き込んだ。
その時――
「お嬢様?」
恵理夜は、春樹の胸元に鼻を押し付けていた。
シャネルの5番がかすかに香る。
そして、血色の良い、春樹の顔を見上げた。
――私の勘の及ばない。薬の投与無しのはずなのに血色がよい、薬が容易に盗める人物――
「出て行ってっ」
恵理夜は叫んだ。
「お嬢様……?」
春樹は、困惑を隠しきれない表情になる。が、それすらも腹立たしい。
「出て行って。今すぐ出て行きなさいっ」
「……かしこまりました」
再三の怒鳴り声に春樹は、ただただ従順に従った。