執事と共に謎解きを。
「あら……」


ふと、彼女の足が止まる。

その先には、黒い車が止められていた。

学校に横付けされていないだけ、ここに来た者の気遣いを感じる。


「春樹」

「お待ちしておりました、お嬢様」


車のそばに立っていたのは、黒いスーツの青年だった。

整えられた髪に、きちんとスーツを着こなし、まっすぐと立つその姿は、執事と呼ぶにふさわしかった。


「毎日は、来なくていいのに」

「雨が降りそうだったので」

「こんな快晴で何を……っ」


言いかけた瞬間、ふらりと彼女の身体が傾く。


「大丈夫ですか」


とっさに青年は、抱きとめる形で恵理夜の身体を支えた。


「今朝、顔色が優れなかったので、」

「少し、疲れているだけよ」

「迎えに来て良かったです」

「さすが、優秀な執事ね」


優秀というその言葉に答えるように、春樹は慇懃に頭を下げた。
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