執事と共に謎解きを。
「……何が、あったの」

「ここに、貫通創です。急所は外れていたようですが、絶対安静ですよ」


そっと、胸の真ん中を指された。確かに、起き上がろうと力を入れると、痛みが走った。


「……夏樹は」


春樹はただ、首を振った。


「薬は、」

「全て戻ってまいりました。《Dレポート》も全てシラヤナギ様の元へもどったそうです」

「そう」


この事件は、一通り解決したことを悟った。


「髪、すこし切れてしまいましたね」


確かに一房、不自然に短くなっていた。夏樹の銃弾を受けたときに打ち落とされたものだ。


「貴方は、もう平気なの?」


銃弾を受けたはずの右肩に触れて聞く。


「…………」


春樹は、何も答えず恵理夜のその手を強く握った。
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