好きです。
残念ながら、あたしの作品は入賞しなかった。

けれど、期待賞をもらうことができた。

出品作品が少なかったから、もらえたといってもいいかもしれない。

会場に来ていた数人のクラスメイトが、あたしの作品と、藤原くんと一緒にいることにびっくりしていた。

「信じられない、賞もらうなんて思わなかった」

歩きながら、あたしはうれしい声を上げると、隣にいる藤原くんが笑う。

「被写体がいいからな」

「自分に自信があるんだねー」

意地悪く言ってやった。でも、藤原くんは「当然」と答えて、また笑った。

不意に、藤原くんの右手があたしの左手を握る。

自分より大きな手のひら。

あたたかい手だった。

ふわりと包んだ手のぬくもりに、あたしは思わず藤原くんの顔を見た。

「武藤、俺達付き合おう」

その顔は少し照れていた。

恥ずかしかったけど、あたしは握られた手のぬくもりを感じながら、はっきりした声でうん、と答えた。



おわり
< 16 / 16 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

【短】ないしょ

総文字数/1,932

恋愛(その他)11ページ

表紙を見る
罪過

総文字数/4,588

恋愛(その他)11ページ

表紙を見る
携帯メール

総文字数/1,170

恋愛(その他)3ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop