好きです。
残念ながら、あたしの作品は入賞しなかった。
けれど、期待賞をもらうことができた。
出品作品が少なかったから、もらえたといってもいいかもしれない。
会場に来ていた数人のクラスメイトが、あたしの作品と、藤原くんと一緒にいることにびっくりしていた。
「信じられない、賞もらうなんて思わなかった」
歩きながら、あたしはうれしい声を上げると、隣にいる藤原くんが笑う。
「被写体がいいからな」
「自分に自信があるんだねー」
意地悪く言ってやった。でも、藤原くんは「当然」と答えて、また笑った。
不意に、藤原くんの右手があたしの左手を握る。
自分より大きな手のひら。
あたたかい手だった。
ふわりと包んだ手のぬくもりに、あたしは思わず藤原くんの顔を見た。
「武藤、俺達付き合おう」
その顔は少し照れていた。
恥ずかしかったけど、あたしは握られた手のぬくもりを感じながら、はっきりした声でうん、と答えた。
おわり
けれど、期待賞をもらうことができた。
出品作品が少なかったから、もらえたといってもいいかもしれない。
会場に来ていた数人のクラスメイトが、あたしの作品と、藤原くんと一緒にいることにびっくりしていた。
「信じられない、賞もらうなんて思わなかった」
歩きながら、あたしはうれしい声を上げると、隣にいる藤原くんが笑う。
「被写体がいいからな」
「自分に自信があるんだねー」
意地悪く言ってやった。でも、藤原くんは「当然」と答えて、また笑った。
不意に、藤原くんの右手があたしの左手を握る。
自分より大きな手のひら。
あたたかい手だった。
ふわりと包んだ手のぬくもりに、あたしは思わず藤原くんの顔を見た。
「武藤、俺達付き合おう」
その顔は少し照れていた。
恥ずかしかったけど、あたしは握られた手のぬくもりを感じながら、はっきりした声でうん、と答えた。
おわり