ご主人様の魔法

「さぁ、帰るか。」

「うん……。」

まだ、ここに居たかった。

二人で……。

夕日を眺めたかった。

陸は立ち上がって歩き始めた。

でも、あたしはなぜか立ち上がれない。

あたしがまだ座っていることに陸が気づいた。

「どうした?」

言っちゃおうかな……。

まだ、ここに居たいって。

「陸、まだ…ここに…座っていたい。」

緊張する。

あたしは陸の答えを待った。

すると、陸は優しく笑って、

「わかった。じゃぁ、もう少しだけな。」

そう言って、手をあたしの頭にポンッとのせた。

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