ご主人様の魔法

ゆっくりと忍くんが離れる。

「わかった。でも俺、諦めないから。許婚の件も、あいつと蘭次第だ。」

「ありがとう。でも、忍くんにはあたしなんかより他に相応しい人がいるよ。」

「俺は、蘭しか見てない。」

真剣に見つめてくる忍くんに何も言えずにあたしはベンチから立った。

「そろそろ帰らなきゃ。」

「送るよ。」

断ろうとしたけど、すでに隣に立っていた忍くん。

さっきの告白も断っちゃったから……。

久しぶりに会えたんだし、いいよね?

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