Rainy Days
『ホ~ント!!晴れてよかった~』
靴が水たまりを弾いていく
「晴れたら暑いじゃねえか…」
『匡人は夏が嫌いなの?』
隣を歩く凪は首を傾げながら問いかけた
「嫌いだ」
汗をかくのが1番嫌いだから
『私は…結構好きよ』
そう言って柔らかく笑う
『雨上がりのこの季節が1番好き―…』
俺はその横顔に見とれていた―…
『雨が降ってる時も好きだけどねっ』
おどけて笑う凪の顔は夕陽に照らされ薄く色づいた
『行こっ?』
絡ませた指をほどく気なんてしなかった
素直じゃない凪が時々こうしてすり寄ってくる
それがたまらなく愛しいなんて死んでも言ってやらない
「行くか」
手を握り返してやると凪は嬉しそうに微笑んだ―…