Rainy Days
少しだけ救われた気がする
これだけ心配してくれる人間がいるならきっと直ぐに立ち直れる
俺っていう最低な男を忘れて、あいつの望む優しい恋人の元に行ける
「終わらせたんだよ。バカらしかった恋人ごっこをね―…」
薄く微笑む
早く忘れろよ
『恋人…ごっこ…?』
「そう、恋人ごっこ」
流れるのは息苦しい沈黙
『匡人先輩にとって凪ちゃんって何なんですか…?』
俺は答えなかった
いや、答えられなかった
『“恋人ごっこ”の一言で全部終わらせるつもりなんですか!?匡人先輩は…っ…凪ちゃんのことが好きだったんじゃなかったんですか…っ…!?』
彼女の言葉は純粋で正直で真っ直ぐで、俺が正面から太刀打ちできるものじゃなかった
「……さあね」
誤魔化すことで自分を守る
『匡人先輩っ!!』
力一杯叫ぶ美弦ちゃんを背にし、屋上から出て行く