ある17歳における不明瞭な愛についての考察








遠回りしませんか、と提案したのは千往だった。

茶化した口調はしたものの、千往が顔を赤らめているのがわかる。


俺だって照れてはいた。

けど、それに負けないくらい嬉しかった。





学校は小さな山の上にある。山とは名ばかりで、どちらかといえば丘なんだけど。
そのうえ、普段なら小さなトンネルを通るから、その斜面も感じないくらいだ。


俺はわざと坂道を通り、ぐるりと丘を回る道を選んだ。



「はじめて!」

俺の後ろで、千往が小学生みたいにはしゃいだ声で言う。


「なにが?」

「…ふたりのり!」



「後ろ乗る?」──歩きながら俺が聞いたら、千往は相当嬉しそうにしていた。

時間が時間だし、交通安全指導のおっさんも、この道は立ってないから、それだけなんだけど。


ふたりのりだけで、ここまで喜ばれるなんて思ってなかったけど、悪い気はしない。

自転車の荷台、千往が座りやすいように家で曲げとこう───





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