ある17歳における不明瞭な愛についての考察
立ち止まったまま千往を待つ。
だんだんと近づいてくる、歩きのあいつ。
「ありとっ」
そんなに寒いのかほっぺたと鼻の頭を真っ赤にして、チェックのマフラーを巻き直しながらあいつはもう一度俺を呼んだ。
「…おはよ、」
千往は俺を見て、俺の挨拶に言葉を返さずにふにゃりと笑った。
千往の目がかごに行って、俺に向かう。
──乗せてもいい?
たぶんそういうことだ。
俺も真似して言葉にはしない。頷いてみせた。
千往が背負っているリュックを俺のチャリかごにそっと乗せる。
「…ありがと」
今度は、千往は言葉にしてそう言った。