ある17歳における不明瞭な愛についての考察





有斗はやけに真面目な顔をして、


二羽のペンギンを消しゴムで消して、


あたしと視線を合わせて、



はっきりと言った。







「ちゆきがいちばん。」







かきん!と、野球部のバッティングの音。吹奏楽部のロングトーン。
ざわめく世界。



世界に積もっていく。
ありとの言葉で埋め尽くされていく。





とろとろに溶けてく。






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