ある17歳における不明瞭な愛についての考察
「───勝負しよう」
また始まった。
千往に「勝負」を挑まれるのは、もう何度目だろうか?
何かと俺に勝負をしかける千往と、受けて立つ俺。
「いーけど。…今日は何?」
しりとりに始まり、テストの点、競走、手遊びがいくつか、はたまた背比べまで。
そして、千往は決まりごとのように「勝ったらいちごオレ、ね!」と賭けてみせる。
思いついた「比べ合いっこ」をそのまま口に出しているようだから、少なくとも、たぶん勝つことが千往の目的ではないんだと思う。
でも、理由はわからない。
千往がどうして俺と勝負をしたがるのかも。俺がどうして毎日の「それ」を期待しているのかも。
わからない。
俺にはわからない。