ある17歳における不明瞭な愛についての考察
二人で並んで昇降口へ向かう。
「千往」と「津田」は靴箱も上下段。
2人がスムーズに靴を履き替えられるように、あたしは少し急いで自分の背丈よりも高い靴箱からローファーを落とした。
届かないことはないけど、目一杯手を伸ばさなきゃならない。
取り出した靴の代わりにスリッパを無理やり突っ込もうとしたら、有斗の手が伸びて、あたしの指先の代わりにスリッパを押した。
「…う…!」
なんだ今の、かっこいーよ。
「ん」
有斗は自分のスニーカーに足を入れながら、逆さまの視界からあたしを見る。
あたしは有斗の隣に駆け寄って、しゃがんで靴を履いた。
特に変わらない、いつもの有斗。
特別イケメンだって評判なわけでも天才なわけでもない、普通の高校二年生。
だけど、あたしの大切な人。
あたしを大切にしてくれる人。