ある17歳における不明瞭な愛についての考察
校舎を出たところに佇む街灯に照らされているおかげで、有斗の白い吐息が鮮明に見えた。
学校の敷地内からは、もう完全に人の声は消えていた。
冷えた空気に、澄んだ冬の空には満天の星。
「行こ、ちゆき」
マフラーを巻き直してから有斗の隣へ駆け寄ると、ローファーの靴底とコンクリートが音を立てる。
ぱちぱち、
粒の揃った音は、まるで。
「───楽器みたいだね」
あたしが言うと、少し驚いた顔をしてから有斗がとても嬉しそうに笑った。
***fin